白堊歌会RURU 2023年4月
生垣の
紅き山茶花
散り終へて
目に沁みとほる
冬の満月
吉田美雅子
事実には
目をつぶりて
虚構なる
共同幻想《ものがたり》を
受け入れ人なる
村谷 尚
時よとまれ
いくら祈っても
容赦なく時は流れる
時を慈しみ尊び
時空を自由に飛びたい
伊奈 裕
厳冬の
宵にたたずむ枯木立
一雨ごとに色づいて
彼岸すぎれば
花木立
だいてんち
「勝ったの?」と
かかりつけ医
興奮しているから高いかもと
血圧計に腕を出す
三月二十二日WBC決勝の日
青山すみれ
勝ち切るためには
物語が必要
「信じる力」でWBCを制覇した
栗山監督の「物語を描く力」
創造者としても超一流だ
山田武秋
30年前なら
駆けつけたやも知れぬ成田空港
今はとてもと思ひつつ
アラ古稀マダムの
インタビューに答ふるを見る
はま栗
モノトーンな明け暮れに
色をさす
折り紙のお雛様
きょうは
桃の節句
田川宏朗
わずか
一分前の点眼すら
「?」と不安になる
我が頭脳の
覚束なさよ
ろろちち
〇次回の締め切りは5月31日です。
白堊歌会RURU 2023年2月
畑の辺を
過ぎて墓参に
向ふ道
山茶花の紅
散り日をとどむ
吉田美雅子
心のままに
いつわりなく
高潔に
歌は
かくありたい
田川宏朗
私にとっては早朝の
午前9時半の散歩
日陰に
儚げな霜柱発見
指先でそっと触ってみる
ろろちち
こども広場で
ボールを蹴り合う親子
ケラケラ笑う子は
母に甘え嬉しそう
冬の柔らかい陽射し
伊奈 裕
聖堂の
銀杏の落ち葉
はき捨てられ
金色ろうたし
賀春来たれり
村谷 尚
埼玉の朝も
結構寒いぞ
初めての氷に
わん子
「わぁん」って驚く
はま栗
かじかむ両手を大きく振って
速歩、速歩、速歩 ・・・
ふと見上げると
きらめく蝋梅の花
思わず歩みを緩めて見入る
だいてんち
冬至も大寒も雨
合間に大雪と
氷点下十度超えの真冬日
身体中の血管が
悲鳴を上げている
山田武秋
あす 夫が 退院して帰ってくる
向こうは落ち着いているだろうけど
私は そわそわ
夫は 私にとって
36年前 出会ったときのままの人
瀧津泉
神社で
頭かじりを
坐禅会で
御守をいただく
年のはじめ
青山すみれ
2022年12月11日白亜芸術祭(盛岡一高OB在京会芸術祭)五行詩朗読(短歌、詩を含む)、野口田鶴子さんの朗読です。会場は、神田の文房堂ギャラリー。
https://www.youtube.com/watch?v=Rf4u4buEZqQ&t=260s
▼ろろちち
ベランダでスクワット
テンションアップの
その訳は
雲間からこぼれた夕日が
私にスポットライトを当てるから
なまじ覚えのある方言に
そっと声に出し二度三度
イントネーションを確かめつつ
なかなか読み進めない
浅田次郎の「母の待つ里」
▼青山すみれ
うつくしい
おたより
万葉の世界から
届いたような
締め切りのお知らせ
夕焼けに染まる
雲を見上げながら
散歩と体操
毎日大空の
ドラマを楽しむ
▼村谷尚
やすけく豊かなる日の本のほかに心得なきも
「国際情勢が変わりました。日本も変わるでしょう。」
君易く答辞で言ひ切るべしや?
父かつて反戦デモを繰り返せど不毛なりき
有事なれば徴兵されるは君ら。
たまきはる命はりて日の本と世界の平和を守るや
▼伊奈裕
医師や看護師さんの
言い方ひとつで
患者の心が揺れる
優しく励まされると
前向きな気持ちがふくらむ
世界が壊れている
豪雨に見舞われ
熱波が襲う
世界中のあちらこちらで
悲鳴が渦巻く
▼山田武秋
青空の
エキスを凝縮して
点滴し
宙(そら)の子に
なる
ウクライナへ侵攻した
プーチンを讃える
ウラーッの鬨(とき)の声
もう「ウラー 一高!」は
唱和できない!
▼田川宏朗
ひと日の夏空を
目裏(まなうら)にとどめ
木槿 (むくげ)の花たちは
地を枕に
眠りにつく
愁い
寂しさ
雪にあずけて
関東平野は
青天井
▼瀧津泉
浄土ヶ浜に
雨が降る
赤とんぼもふらふらと
屋根の下に逃げていく
遠くにけむる釜石観音
▼はま栗
この世に
生まれた
小蟷螂
食べ物あるか
寝るとこあるか
ふかふかと
落ち葉踏み行く
夕暮れに向かいてなおも
遊び相手を探す
犬の仔
▼辻やのか
もり・とり・いのり
もり
もり
みどり
いのちがめばえ
ときをつなぐ
もり
もり
ことり
いのちのうたは
ひかりをはこぶ
もり
もり
いのり
いのちのゆりかご
あすへのいのり
▼戸澤聰
ふるさとの学び舎出でしともがらの芸術祭十五回続く
白堊歌会RURU2022年12月
房ごとの
個々の実色づき
コムラサキ
枝垂れて庭に
秋の深まる
吉田美雅子
ももづたふ
八十若先生
思い出す
県北訛りの
故郷の人見ゆ
村谷 尚
怒れる
わかものが
眺める
年寄りに
戦後も齢七十七
田川宏朗
おじいさん おばあさん元気でねと
園児たちのあいさつ
エッ だれのこと
思わず会場を
見渡す
青山すみれ
夜陰に眠る
杜の都
盛岡の朝は
北山の天辺から
明けていく
山田武秋
見えないものが
見えるよう
病室の天井を眺め
未来を想像していた
心を研ぎ澄まし
伊奈 裕
桃色のハーネス外し
サンタ服脱がせ
ひいらぎ飾りの首輪を取れば
犬の仔は
無防備なまろき躰となりにけり
はま栗
爛漫の 人間将棋
甲冑姿の 藤井聡太
礼儀正しく バカ強い
舞鶴山も 春 染まる
町全体が 祝祭日
瀧津泉
10月31日夕暮れ
一番星と三日月と
暮色に浮かぶ富士山を
独り占めする
ベランダの私
ろろちち
初冬の夜の天空に
暗赤色に浮かぶルナ
その左隅に、惑星ウラヌスがピカリと光って隠れた
442年ぶりの天空の神々のロマン
次は332年後に訪れるらしい
だいてんち
白堊歌会RURU2022年10月
低空の
スーパームーン
赤み帯び
間近に見える
明日は盆入り
吉田美雅子
プログラム直してメモリ増やさずやっと稼働させたが
「メモリ不足のエラーなら即増設が合理的でしょ。
昭和の発想のままですね、先輩!」
なるほど別なことに時間と頭を使うべきか
古いスキルも人も消えゆく、おらに変われる余地あるべか
村谷 尚
ドックに
繋留されて
のぞき込む
わが身の
深海
田川宏朗
百日紅
お宅の方のが
紅いねと
口惜しそうなる
隣家の紳士
はま栗
海外ニュースが流す
ウクライナへ侵攻した
プーチンを讃えるウラーッの鬨の声
もう「ウラー 一高!」は
唱和できない!
山田武秋
今日は秋晴れ
久々に外干し
北上川は
穏やかに
流れる
青山すみれ
テレビを見ていて
故郷の名前を聞くと
パッと反応
心に刻まれた故郷は
私の中で生きている
伊奈 裕
オーハヨーゴザイマウス ニューヨーク
キュンデス! ショウヘイ オオタニ
サンシン! ドコカニイッテ ハヲミガク
イワテノ タカラ
イツモ ゲンキヲ アリガトー
だいてんち
浄土ヶ浜に
雨が降る
赤とんぼもふらふらと
屋根の下に逃げていく
遠くにけむる釜石観音
瀧津泉
総武線にて
スカイツリーに
沈む日の
重なる瞬間
息呑みて見る
吉田美雅子
恵まれた
二世三世
政治家と
レールを外れた
無敵の人か
村谷 尚
実験動物のサルが
最初の感染例
だからサル痘 って
サルに
失礼だろ?
田川宏朗
いかが?と聞きながら
顔色や声の様子をみる
十五分の
面会
あっという間だ
青山すみれ
コロナ禍の中
二年で二回目の入院
もっとも安全な避難所で
大波を
やりすごす
山田武秋
団地の窓から
孫の到着を今か今かと
待っていた祖父母
花火や好きなお菓子を
いっぱい買って
伊奈 裕
各局の天気予報を探す
どこかで
明日の所沢は雨だ と
言ってくれないか
夏空は広がらなくてヨロシイ
はま栗
熱射のなかで 苦しげに
からだじゅうを 掻いている
渋谷の駅頭に
どこから来たのか この犬は
日陰に入る 知恵もなく
瀧津泉
誕生日プレゼントは
「電動自転車希望」
と、大声でほざく孫
まだ高校生
もう新成人
ろろちち
真夏の宵の散歩道
さざめく蝉時雨
見上げる空に沸き立つ雲が
ひんやり息を吹きかける
汗ばむ顔に心地よい
だいてんち
○次回締切は、9月30日です。
三月の
浜辺に群れて
百合鷗
すでに夏羽
頭のくろし
吉田美雅子
英語のIT用語 instance
日本では インスタンス
中国では 征実
おらは インスタンス = new クラス名
カナに意味(実体)がない。明治の漢語翻訳人今やなく中国圧勝
村谷 尚
山影を
逆さに映す田面には
迷い蛍が二つ三つ
ルミネッセンスの
またたきに魅入る
だいてんち
春バラも
若葉も
通学帽子も
ビタミンカラー
もう少し歩こうか
田川宏朗
ヤッター
スポーツ音痴の
70過ぎの婆ぁばにまで
思わず歓声をあげさせる
大谷選手、ホームランの威力
ろろちち
医師や看護師さんの
言い方ひとつで
患者の気持ちが揺れる
優しく励まされることが
いちばんの治療薬
伊奈 裕
バスを降りると 実家が見える
両親 姉妹 猫2匹
いろいろといたのだけれど
今は 老けた姉と子犬
縁側でくつろぐ
瀧津泉
スーパーに
見覚えある犬つながれて
隣家の紳士が
イカ天一つ
レジで贖う
はま栗
普通郵便物を
木曜日に投函すると
届くのは翌週の火曜日
今は郵便は遅いからと
FAXで返信が来る
青山すみれ
「あの世」では
命日が誕生日
毎年五月二十九日
母は大好きだった与謝野晶子と一緒に
お誕生会を楽しんでいる
山田武秋
〇次回の締め切りは7月31日です
大変申し訳ございません。
新規投稿時に、全体のコード系をUTF-8にしてしまうバグがあったようです。
掲示板データはShift-JISに統一していますので、修正しました。
この投稿後は大丈夫ですので、よろしくお願いいたします。
在京白堊会事務局殿
掲示板の移植は問題ありません。
つきましては、在京白堊会専用として使用できますか。
平和で豊かな日本しか知らないのに、式辞では
「(ウクライナ戦)国際情勢が変わりました。日本も変わるでしょう。」と
卒業生よ(受け身で流し)簡単に言い切ってよいのか
父達は昔、国会に反戦デモをかけたが実らず
もしもの時、先兵は君たちぞ。命張りてこの国を、世界の平和を守るのか
村谷 尚
どんなにか寒く
怖いだろう…
はるかな
貴方たちを引き寄せる
警報の闇
田川宏朗
●なまじ覚えのある方言に
●つい、声出しで二度三度
●確かめつつ、また戻り
●中々読み進めない
●浅田次郎の「母の待つ里」
ろろちち
雪代の
傍らに佇む
座禅草
世の騒乱を
鎮めるがごとし
だいてんち
桜の下で
さけぶ 老女
みんな 見ないふり 聞かないふり
我が愛犬も トットットッ
花びらをふんで 素通り
瀧津泉
今年の冬は
膝が痛くないです
「鈍くなったんだよ」
とかかりつけ医
医院で大笑いした八四歳
青山すみれ
痛くない!熱も出ない!
コロナワクチンの
3回目接種
本当に注射したの?
と、フェイクを疑う
山田武秋
しょりしょりと
軽やかなる音のして
仔犬のモコは
新しき障子を
齧っていたり
はま栗
孫たちからの
誕生日メッセージ
「長生きしてね」
嬉しいがちょっと淋しい
いつの間にかこんな歳
伊奈 裕
〇次回の締め切りは5月31日です
teacup 殿の撤退予告を受け、在京白堊関連の掲示板8個を
事務局で自動変換により、取り込んでみました。
https://mori1-mp.main.jp/clipbbs/clipbbs.cgi?log=9324
既に取り組みを始めたわけでなく、自動変換のものを使う
ことを候補にする掲示板管理者は、事務局に一報ください。
なお、試用した複数の掲示板の利用者から、共通のご質問
が出た場合のご回答の情報は、5月14日の総会の場でも
共有させていただきたいと考えています。
在京白堊会 事務局
寒風ひゅうひゅう散歩道
川辺に並んだ水仙花
垣根に寄り添う福寿草
見上げる枝の梅ふふみ
春の兆しはそこここに
だいてんち
リア充の
知己のネットは
別世界!
せめてとイチゴを
買いて子にやる
村谷尚
愁い
寂しさ
雪にあずけて
関東平野は
青天井
田川宏朗
老いること
歳を重ねるたびに
ちがった人生の味を
堪能でき
感動の旅は続く
伊奈
朝、蒼天にスックと浮かぶ富士
夕、夕陽を背に影絵と化す富士
今日もまたシャッターを押してしまう
仕上がりは昨日と寸分違わぬ景色と
分かっているのに…
ろろちち
「土曜日に行った ビュッフェ」
「その前に行った 寿司屋」
息子がラインで送ってくるphoto
おいしそうだね〜と返すけど
それより君の顔が見たいな
瀧津泉
できることは減っても
日々やることは増え
一日二十四時間では
とても足りない
病後の日々
山田武秋
俳優の名前が
なかなか出てこない
ほら、あのCMに出ていた人よとか
去年の大河ドラマに出てたじゃん、と
連想ゲームの毎日
青山すみれ
ひと茎の
ブロッコリーに狂喜する
仔犬を見れば
人の美食の
罪深きを思う
はま栗
次回は2022年4月です。
星が冴える
夜坐禅
シュッ、シュッと
衣擦れの音
背筋が伸びる
青山すみれ
できなくなったことの数々
たとえば飲み会
走って逃げること
病気になって
君子危うきに近寄らずを知る
山田武秋
※病気になって、変わったことといえば、コーヒー党から紅茶党になったこと。
食べ物から消えたメニューもたくさんあります。そして以前はできても、できなくなった
こともあります。それが走ることと、飲み会にでること。いまやすっかり聖人君子(?)の暮らしです。
辻ひとつ
違(たが)えれば
あらたな景色が
あらたな
出会いが
田川宏朗
先達曰く、強権者の勢力は遍く行きわたり、時代閉塞を生む
それは、若者達を囲繞する空気を滞らせ、理想喪失の悲しむべき状態になる
一世紀後、古きしがらみを超え、眦を決して我が道を歩むと宣言したカップルがいる
日本を飛び出し、様々な批判を超えて超人的なプレーをする若者がいる
然り・・・ 時代に没入しては、時代を批評することができない
落ち葉がさわさわ降り積もる
秋深くなれども
蝉の穴
黒々と
ふさがらず
はま栗
ネタ切れで
墓穴掘るのみ
他社LINE
開店休業!
業界哀し
村谷 尚
※仕事で新着案内のメルマガを担当。が、今や、LINEやtwitterの公式アカウントを
教科書のライバル会社も取得し、SNSでの発信が流行です。しかし、小中教科書会社は、
光村や日文だけまめに発信更新し続けておりますが、他社は、さぼって、数週間、数か月、
発信や更新がないのがざら。仏作って魂入れず?移行期で直に変わるのでしょうか?
4年4ヶ月
東京の病院に通い続け
本日、めでたく卒業
嬉しいやら淋しいやら
馴染んだ町にもお別れ
伊奈 裕
コロナがおさまったら 会おうね
何回も 約束
一度も 果たさず
ぜい肉が
体ばかりか 心にも
瀧津泉
十月二日
父母の忌日は
同じにて
庭に芝桜
返り花咲く
吉田美雅子
2週間ぶりの草加12階
震度5強に負けたらしい我が家
小ぶりの整理箪笥が
誰もいない和室に倒れていた
あぁ、留守で良かった
ろろちち
次回は2022年2月
「白堊歌会RURU」 2021(令和3年)9月作品
※感想をこの掲示板にご投稿頂ければ幸いです。
日盛りの中
ブルーインパルスを
待つ人の
スマホの林を
縫いゆくチョウチョ
はま栗
よりクリアに
より大らかに
より倹(つま)しく
三度目が
あるのなら
田川宏朗
期待した会社での
モデルナワクチン接種も
ひと月遅れ、四十代以上のみ
自分で自分を守れと総務より指示
わからん!残念な日本ってこれ?
村谷 尚
強行実施のオリンピック
暗いトンネルの中の
希望の光か、人類の災難か
心は重い それでも
テレビで熱く応援
伊奈 裕
父母の墓に
参りたる日の
夜の庭
百日紅の
散るを見てをり
吉田美雅子
我より年若の
従兄弟の訃報
こんな日は
空よ、山よ、地よ
共に泣いておくれ
ろろちち
今日も また
暗闇の中で
探している
現から夢へと行ける
秘密の扉を
瀧津泉
夕焼けに染まる
雲を見上げながらの
散歩と体操
毎日変わる
大空のドラマを楽しむ
青山すみれ
予定が
キャンセルになり
コロナ禍中の
午後の
まどろみ
山田武秋
満州開拓民の置き去り
沖縄戦の島民集団自決
入院拒否感染者の自宅死
この国の国民に対する冷酷さは
今も変わらない
だいてんち
*次回は11月
作品について
「白堊歌会RURU」 2021(令和3年)6月作品
※感想をこの掲示板にご投稿頂ければ幸いです。
近頃は
大谷選手の
ホームラン
だけが気晴らし
雄星も続け!
村谷 尚
時代超え
後楽橋に
見る艀
ごみを積み込み
神田川ゆく
吉田美雅子
ベランダスクワット
テンションアップの
その訳は
雲間からこぼれた夕日が
私にスポットライトを当てるから
ろろちち
ポストコロナ時代が
否が応でも
見えてくるステイホーム生活
が、残念ながら
そこに私の活躍の場はない
山田武秋
野花が賑やかな散歩道
薫風が運ぶウグイスのさえずり
耳をすますとまた一声
季節は移ろい
自然の営みは変わらない
だいてんち
まりつきで
一緒に遊んだ
幼なじみが
入院
早く元気になあれ
青山すみれ
「あるものでチャチャッと」の私
計量カップにスプーン
選びぬいたレシピ
1週間前から準備
「料理は理科実験」の夫
瀧津泉
天に向かい
気高く咲く
彩り豊かなルピナス
癒やされ幸せな気分
久しぶりの散歩
伊奈 裕
出来そこないと
放り投げて五年
いい加減にしろよ!
歌が私を
はりとばす
田川宏朗
さぁやっと寝られる
片付けも済んだしストレッチもした
ラジオをつけ
抱き枕に埋もれて
読み古しの本を広げよう
はま栗
*次回は9月
山田武秋さんへ
大人が愚かに見える今の子供時代
マスクさせて、ステイホームさせて、自粛させて
一体コロナはどこにいる
コロナはテレビの中の仮想現実
回り見渡しても誰も感染者なんていやしない
6000人に1人程度はいるとか言われているが
PCR検査すればいくらでも見つかるとか言われるが
誰かコロナのウィルスを見せて見ろ
大人たちは裸の大様か?
「白堊歌会RURU」 2021(令和3年)4月作品
※感想をこの掲示板にご投稿頂ければ幸いです。
天災
紛争
パンデミック
未来はバラ色
だったはず
田川宏朗
シャッターの
下ろされしままの
店多き
秋葉原ゆく
コロナ二年目
吉田美雅子
今夜は満月だから
みんなやってきた
夜桜見物にやってきた
おぼろ月を橋の上に引きとめて
犬も人も眺める
はま栗
洗顔後の肌
シワの一本一本が
殊更に溝の深さを誇示して
我も我もと
化粧水を求めて来る
ろろちち
OSの
UPの都度に
プログラム
修正必須か
仕組まれし罠
村谷 尚
いつも愛している
時には意見の違いや諍いがあっても
愛は続く
価値観が同じだから
気持ちは離れない
だいてんち
長いこと働いてくれて ありがとう
今日は 退職 おめでとう
38年間 幸せでした
また 二人になりましたね
これからは 週2回夕食当番お願いしますね
瀧津泉
1秒先は
わからない
この瞬間を
ていねいに
生きる
青山すみれ
愛する故郷は
新幹線であっという間
いつも心を潤してくれる
今私が住んでいる町も
息子たちには大切な故郷
伊奈 裕
大人が
まぶしく見えた
少年時代
病を得てもらった新しい身体は
まだまだ成長途上
山田武秋
*次回は6月
「白堊歌会RURU」 2021(令和3年)2月作品
※感想をこの掲示板にご投稿頂ければ幸いです。
死ぬまでは
生きるしかなく
やすらぎの
在宅勤務の
我《われ》サボリーマン
村谷 尚
ことしは
曙光が
みえるのか
闇にまどう
ホモ・サピエンス
田川宏朗
体温の上下に一喜一憂
平熱に戻り気づく
「平」の漢字の素晴らしさ
平熱、平凡、平穏・・・
冬の青空の美しいこと
伊奈 裕
住む街に
ステーションワーク
設置され
社会の加速に
戸惑う吾か
吉田美雅子
うす青く
幾重にも霞む
山々の
ひときわ高く
雪まとう富士
ろろちち
春風に
向かって走る もんた
大きな耳を なびかせて
「おそいぞ」と
わたしを振り返る
瀧津泉
水回りが凍り
ボイラーが壊れ
雨樋も壊れた
いまや雪は
ロマンティックでなくなった
青山すみれ
青空の
エキスを集め
点滴し
宙の子に
なる
山田武秋
カタバミの叢はキャノピーのように盛り上がり
イヌタデの花は茎まで紅い
早咲きの蔓日々草に
「つるさん、きれいだよ」
と、声をかける
はま栗
水仙月の北国は
雪婆んごと手下が雪嵐をまき起こし
天地を青白色に埋め尽くす
夜の雲間を見上げると
冬の星座の冷たい光
だいてんち
*次回は9月
「白堊歌会RURU」 2020(令和2年)11月作品
※感想をこの掲示板にご投稿頂ければ幸いです。
夕焼け雲に沿うように
飛行機がゆったりと旋回し
コロナと熱中症の夏は
いつの間にか
秋へと変わったらしい
ろろちち
目を閉じると浮かぶ
秋葉原のふれあい橋
夢中で歌を詠み
皆が燃えていた
あの頃、私も若かった
伊奈 裕
十月に
咲きそろひたる
彼岸花
雨なき酷暑
凌ぎ赤冴ゆ
吉田美雅子
黄葉ふりつむ静かな日々
遙かなる職員室
飛び交う若い先生方の会話が分からなかった
ホットサーティワンドルチェ
ダッフィー&ステラルー何ちゃら
はま栗
コロナウィルスは
連れてくるだろう
ソーシャルディスタンスを
跳び越えてくる
うたびとを
田川宏朗
私を
「きいちゃん」とよんでくれた父と母
今は亡く
「そうは言っても お義母さま」と
のし歩く 嫁がいる
瀧津泉
I WANT YOUR LOVE
花金の
駅
フェロモン
懐かしき女《ひと》あり
村谷 尚
Once in a blue moon
ハローウィンの夜はブルームーン
天空より
地上の魑魅魍魎を
やさしく見守っていた
だいてんち
*次回は2月
「白堊歌会RURU」 2020(令和2年)9月作品
※感想をこの掲示板にご投稿頂ければ幸いです。
ノーマスクは
契りなのか
部活Tシャツたちが
盛りあがる
駐車場
田川宏朗
また鯉の
屍が浮かぶ
石神井川!
最後に見しか
ヘドロと青空
村谷 尚
夜の観覧車
月の光に包まれる
夢のように過ぎていった
時間を思い
無言になる友と私
瀧津泉
今朝もまた
見える筈のない朝陽が
向かいのビルの窓に反射して
熟睡できなかった不満を
いっとき相殺してくれる
ろろちち
容赦なき
複合災害
窓を打つ
強き風雨に
たびたび目覚む
吉田美雅子
お盆の前は
あちこちで
ウーウー グァーグァー
草刈機の音で
にぎやかになる
青山すみれ
訪う家族もなく
静かな盆の夜
ペルセウス座流星群に
願かける
隣人の蜜できる
山田武秋
片付けに追われ
今日もランチは
山田うどん
埼玉のソウルフードとは
いうけれど
はま栗
心許ないリーダー
自己保身の医療官僚
市民に寄り添わない保健システム
官尊民卑の国では
自分の身は自分で守るしかない
だいてんち
情熱をかけて
活躍していた
若き日の自分
鮮明に甦った記憶
あのとき私は主人公
伊奈 裕
*次回は11月
- CLIP BOARD -