うつせみの世のならひとや紺色のスーツにネクタイ締めはや四十年!
たまきはる命の隙間を優しさがときに流れて愛もしみでる
我が内でA美R子菊姫よ。笑ってくれ。全てかたづく
パンジーの植替え見れば行く人の顔重なりて異動の季が来る
いち早く色づく桜の葉を見つけ今年もゆくかと寂しかりけり
あしがきの古き恋ではあるけれど会うつど心が燻り切なき
たまさかに技量と心が絵を編みてうそでも美し机上に飾る
あがいてもあがいてもなお時代から取り残されて我ゆき場なく
OLの純白シャツにバスト張るまばゆいばかりの夏は来にけり
政治ショー米朝会談、請求が来る属国は蚊帳の外なり
米国の指示でカジノも作るとか?核持つ国には勝てぬとだんまり
猛暑日のシュロに空蝉しがみつく吾《あ》もしがみつくおやじギャグとか
ぷーになると毎日が楽!子は嘆く!失業の妻、朝起きず寝たまま
別れのとき彼女の目を見ていたか?悲しいまなざし今も焼きつく
まだやれる思えど外され窓際でスカイブルーの孤高を見上げる
DBが落ちても誰も気にしない老SEはリカバリ空し
神の意志?乱高下裏に投機あり市場の価値はなぜ有意なのか
果てしない経済人の夢の跡、心貧しきまま皆尽きる
米、菜《な》、魚《うお》と地味な祭壇!神葬の自然の道よりご先祖様来る
「白堊歌会RURU」2018 9月作品
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八月は
終戦の月
戦争を知らない私が
戦争を知るかもしれない孫を
憂う
ろろちち
近づきし
火星のひかり
中空に
赤くかがやき
神秘をたたふ
吉田美雅子
ナイアガラ
材木町の夕市
光原社のラムネ
四人で歩いた
遠い夏の日
瀧津泉
夕暮れを背に、ふと見上げると
紅く輝く戦いの星マーズ
女神テラとの久方ぶりの逢瀬に
身を焦がして燃え上がる
天空のラブロマンス
だいてんち
心に生きる故郷
盛岡城・北上川・岩手山
四季折々
岩手山と向き合い
人生を語った
伊奈 裕
弟が買ってきた
大きなスイカを
甘いね、甘いといいながら
きょうだいでいただく
緑がまぶしい夏の日
青山すみれ
灼土を
叩きつける雨に
安眠を破られた龍神
渦雷となって
天に噛み付く
山田武秋
上の橋のたもとの
丸竹茶屋がなくなったよ
汗をふきふき氷イチゴを当てにしてたどり着いたら
駐車場になっていたよと聞いたら父はどんなに失望しただろう
でも梅月堂は大丈夫だったのよとお醤油だんごを供える
はま栗
敗戦忌
フウセンカズラが
ふうらふら
張り子の虎か
9条たゆたう
村谷 尚
*次回は11月
来内のバイカモ懐かし浴衣着た君と流した笹船何処や
校長の「忍耐《ぬんたい》!」馬鹿にしたつけか今は下流で「んだ」と訛れり
つれあいの足もみしつつくだらんが、ともに暮らす交歓と思う
「生きていて楽しいことをやってくれ」亡き友がふと枕元にいる
Deathwish!終わったSEの墓場とは?WEBの裏ゴミプロ動かす
炎天下青き花梨の下行けば清しさ落ちて汗を忘るる
濃密な愛の交歓遠く我が存在ぼっちのマスターベーション
うすものを纏いし娘ら闊歩する夏来たるとも老い哀し勃たず
バーのママ「ヘンリーミラーはホキのほと描き続けた」なぜ吾《あ》に語る?
王子駅傍らの堰にガマの穂がひしめく盛夏になりにけるかも
オニユリが大地に何かを語りかける公園で子等の水遊び追う
むらたまの心豊な社会とは何であろうか虚栄の首都で浮く
人として常軌なき吾《あ》が死ぬまでにできるはかろく風に吹かれる
くだらなさに幸あり♂♀笑えば即解決!ありのままみたい・
はるがすみおぼされるまま使われど益出ず人の役にも立たじ
あかぼしの飽くなきハッカー対策はいたちごっこで空しく空《くう》なる
会社でも家でも自分が変わるのみ他人は変わらぬ so it goes.
懐かしの洋楽カラオケ字幕見て脚韻続き詩人欣快!
ヒキガエル卵を初めて見ゆる子がタヌキが食らうと知識ばかりで
立夏来て片陰《かたかげ》を行き見上げれば鈴掛の葉はまだ子供なり
「白堊歌会RURU」 2018 6月作品
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赤色のタワー
夜の東京
立っている
遠く 近く
家族四人の冒険の旅
瀧津泉
夜空の雲に隠れるように
フルムーンとジュピターが
手に手をとってそぞろ歩き
朝焼けを背に
静かに去っていった
だいてんち
61年前の小学時代に
タイムスリップ
全てをさらけ出し
笑った笑った
夢のようなクラス会
伊奈 裕
ふと目を覚ます
いま朝? 夜?
スマホで気づく夕暮れ時
熟睡した
寝落ち
青山すみれ
停年過ぎた
悪友三人の飲み会
誰も他人の話に
耳傾けず
自分語りする
山田武秋
今日田んぼに水が入りました
夏至の日まで三週間
夕暮れの畦道を車のライトが通ると
水槽の底から蛙の声が湧きあがる
車列は皆窓を開けている
はま栗
青空が
死んだ目にあり!
あづさゆみ
本気の自分に
再度会いたい
村谷 尚
色珍しいアジサイの
写メを送れば
遠方より
訪いくれる友のいて
嬉しい
ろろちち
春花の
加速して咲き
あわただし
四月に夏日
九日あれば
吉田美雅子
*次回は9月
百千鳥&新入生と堀船の校舎賑わう傍《はた》で花散る
葉桜のみずみずしさが羨ましい皺面向けてスマホチェックす
かりこもの心もしのに君の名を叫びて自涜すプチ荒凡夫
あまくもの別れのわけを告げられぬ我が心は遊びにあらずも
性善説などないネットの申し子に道を説けどもスルーされけり
デマゴーク=フェイクニュースのネット世界デモクラシー死し何が来たる?
エネルギー物流なくしてAIの時代が無理ならサイボーグになれと!
学校でプログミングを教えても役にたたぬと現場は怒れど
三パーでも公教育から人材が出れば可なりと企業ほくそ笑む
うるわしき中学教師の唯物史観いまだ心であがきてわりなし
あざやけしフェロモン放つまぶすけにふられてミューズをスマホ飼いせむ
むらぎもの心に住みつく初恋の女《ひと》は永遠《とわ》にブルマの少女
ゆうづつの夕べの駅でゆくりなく逢えばハグした妹《いも》し思ほゆ
ぬばたまのアスファルト割りて異形なるスミレ草がにょきと咲きぬ
シンプルで明るい現実合理主義を向けど頭上にまた浮浪雲
戦争も温暖化ほか原発も業がなせるか解脱がたし
病棟の下のヒナギク誰《た》が植えた?癒され己を暫し忘れぬ
無粋なる言葉遊びの人去りて昭和の残滓またひとつゆく
政官の私物化強弁レベル低し!が、どこまでも日常は続くかのよう
「白堊歌会RURU」 2018 4月作品
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オホーツクブルーの空
北の大地が熱くなる
そだねー、おめでとう
選手と大観衆が一体
笑顔涙顔入り混じる
伊奈 裕
在京白堊会会報を初めて見たと
岩手の歯医者さん
写真のなかの同窓生たちをみつけ
じいっと見入る
会報を通して白堊の交流の輪がひろがる
青山すみれ
雪解け水を
たっぷりと吸い
小枝が白く輝きだす
芽吹き前の
川岸の柳たち
山田武秋
きのう藤枝
きょう所沢
桜とつけば何でもうれし
『さくらうどん』に
花びら受けて味わう
はま栗
311
山田駅他
流されぬ
虚栄オーライ
不易の首都駅
村谷 尚
シューシュー・シャカシャカ
湯がたぎり茶が香る
円相の妙
円窓の花
いっときの和み
ろろちち
かもめ飛ぶ
海辺の空は
限りなく
清き世界が
広がりてをり
吉田美雅子
父母が昔に買った墓地
やっと今日訪れました
この土のなかに
眠るのね
雑木林には桜とたんぽぽ
瀧津泉
春光に
映える水面の
花いかだ
分け行くボートに
影ふたつ
だいてんち
*次回は6月
四十年永年勤続国会デモ!我が主義主張は抜け殻なれど(笑)
この国にデモクラシーは必要か永久《とわ》にいらぬな利口な奴には
司馬遷はなぜ刺客列伝を残したか?今の若きはほぼ利口です
「それでも民主主義なのさ独裁よりはまし」友は言う
「中央集権は日本には合っていない」友は言う
「驕れるTOPに諫言なき政治で長く栄えたためしなし」友は言う
青白く怨念燃ゆる議事堂の天面《あまづら》のした月かたぶきぬ
茜さす主上のために死したのは正成のみか小島法師よ
忌み嫌う資本やデジタルそれこそが人の本質ことば返せず
いのちより吾が引き当てし0と1残念な人で生生流転
AIになき身も心もボロボロに朽ちていけども楽しめいのちを
たまもなす浮きつかもめもおぼろげに時雨れて寂し石神井川ぞ
英文のマニュアル広げ会社初のネットを引けど報われず然り
「白堊歌会RURU」2018 2月作品
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あら、あなた
そんな顔をしてたの?
白内障が治って
奥様がご主人に
最初に言ったひと言
青山すみれ
やっと寒さに
慣れたころ
雪の下にはふきのとう
こころも身体も
季節について行けない
山田武秋
冷凍室の
大容量のタッパーに
亡き父のジャム
霜柱
立ちて居り
はま栗
信長は
端麗ならば
ともに寝し
男女を問わず
是一種人性
村谷 尚
午後一時の陽を
もう夕方の陽と
断じる幼子に
確かと微笑む
初詣の家族連れ
ろろちち
公園に
集ふ嫗ら
息白し
背中に注ぐ
冬日やさしく
吉田美雅子
われの言う
ことばを
ほほえみ
くり返す
父と歩く航空公園
木下明子
雪止んで
たたずむ地蔵の
綿帽子
凍てつく木々は
静かに春を待つ
だいてんち
朝陽に輝く
銀世界
故郷にタイムスリップ
あまり苦に思わず
雪遊びに興じた幼きころ
伊奈 裕
*次回は4月
若きらの狂騒=砂上の楼閣に見える老いは哀しかりけり
落ち葉散る桜の下の山茶花に真紅がシフトし冬も鮮やか
鉄の麒麟みたいなクレーンが川にあり吊り上げるよう鴨跳ね回る
青いみかんと思っていたら柚子がなる具材にするのかご近所様は
枯れススキ枯れエノコロと親子のよう河原の競演ヒューヒュー奏でる
律の風、隅田川に白波を立てては艀の航跡ちらす
昼休み小春日和の隅田川どんぐり踏み踏み落望郷馴らす
スーパーの中トロ寿司でも久方の天国だぜと喜ぶ子哉
「オレンジよりブルーのビキニが欲しかった」妻の寝言に古《いにしえ》思ほゆ
こぶしの芽が小春日和に顔を出し春さき走る大丈夫かな
世の中を支える財を作ったり消費するは金持ちにあらず
非社員の校正業者の執念が某出版の品位を維持す
北風にブランコ揺らす子等の先、逃げ切る世代が駅へと続く
嬉しけり楓撤去の公園で満天星紅葉が秋を補う
繁忙のオフィスの外の菊の香に晩秋来たるを知らされる由
スーパーの安い寒ブリ刺身なれど美味くて憂さをふと忘れけり
「白堊歌会RURU」2017 11月作品
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水木の実
うれし麗し
露霜の
秋の憂いを
歩道に転がす
村谷 尚
息白く
あゆむ木道
草紅葉
はるか頂に
たなびく彩雲
だいてんち
吾、啄木像の
わきに立ち
オーラをもらう
いい歌が生まれる予感
血潮がたぎる
伊奈 裕
夏と冬を
いっしょに纏い
炭を焼く
やまがつの
丸い背中
山田武秋
まんまるの栗ごはんの
おむすびを持って
お隣りさんが
月がきれいよと
十月四日
青山すみれ
笑・話・歩・走・跳
何をしても輝いて
自覚してない自然体が
一層まぶしい
中学生の君
ろろちち
船橋の
駅前開発の
十年前
ふみきりの跡
おでん種やあと
吉田美雅子
*次回は2月
堀船に僅かに残りしビワの木で鳥けたたましく実を食べつくす
ブルゾンのようなキャリアウーマンに鞭で打たれて伝説なりた死
木犀よ安歩当車でなおゆかし香の木探してワンダーランドだ
街路樹に巻きつきしぼんだ朝顔の種ぶら下がり世界が続く
水鳥の浮世小路の五合酒のんだくれてもしかたねどもな
「Dirty Work」♪誰かがやるしかないのでしょう、これで世の中なんとか回る
我が気づき上司、組合と語れずに「Dirty Work」♪憂さ晴らしけり
鼻歌で「Dirty Work」♪とノリつつも仕事に夢なきシニアはさびし
オフィスでたまには踊ろうや「Dirty Work」♪役者不足の我が部署なれど
ビジネスの叙事詩にヒロイン続出し創造破壊で雑草も生えず
人の環に疲れてすべてが嫌になり窓より思惟を隅田川に棄つ
木犀の開花と香はうれしいが老いた魂が浄化されない
道端のエノコログサをなぜながら空を見上げて正気に戻る
「白堊歌会RURU」 2017 9月作品
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朝焼けに
押されて翔び去る
ビーナスの
激しい姿を
あかつきが観る
だいてんち
恋しい暑さが戻り
顔がほころぶ
思いきって散歩に挑戦
全身汗びっしょり
行く夏を惜しむ
伊奈 裕
濁流の
向こうから
響いてくる
祭囃子の鉦太鼓の音
川音も騒ついてくる
山田武秋
お手伝いお願いしますと
近所の方々から
毎日かわるがわる
キュウリやナス、トマトが
ポストに届く
青山すみれ
新幹線のおかげで
近付いた筈なのに
ますます遠ざかる
父母のいない
故郷への道のり
ろろちち
おのづから
空へ昇れる
線香の
煙見つめて
墓前にし居る
吉田美雅子
片蔭に
身を寄せ歩けど
蒸し暑い!
蝉しぐれの音に
僅かな涼あり
村谷 尚
*次回は11月
鬼平は夜鷹も人と情かけるなぜヒトは間を置きて不和なる
理解より拒絶しコピーし置きしまま意味などいらぬと身ゆだねたまへり
敷島の国と世界に我を置く場所なしされど生きんと思う
信仰はとやかく言わず遊戯三昧。ナンマンダブと五木師真似る
- CLIP BOARD -